
胃のもたれ・食欲不振|“内臓の疲れ”かもしれません
「最近なんとなく胃が重く感じる」「ご飯が美味しく感じられない」――そんな胃のもたれや食欲不振に悩まされていませんか?現代人は仕事や家事、育児などで忙しく、知らず知らずのうちに内臓が疲れてしまうことがあります。さらに、ストレスや不規則な生活、偏った食事などが重なると、胃腸の働きが低下し、慢性的な不調へとつながることも。この記事では、東洋医学の視点から原因を紐解き、鍼灸によるケア、セルフケアや食養生のポイントまで詳しく解説します。
胃や腸の動きは自律神経の働きによって調節されています。ストレスや睡眠不足、過労が続くと自律神経のバランスが乱れ、胃の働きが低下しやすくなります。特に交感神経(こうかんしんけい:活動モードの神経)が優位になりすぎると、消化機能がうまく働かず、胃のもたれや食欲不振を感じやすくなるのです。
東洋医学では、胃腸の働きを「脾胃(ひい)」と呼びます。脾胃が弱ると、食べ物をうまく消化・吸収できず、気血(きけつ:身体を巡るエネルギーと栄養)を生み出せなくなると考えられています。これが続くと、倦怠感やむくみ、顔色の悪さといった症状を伴うこともあります。
重要ポイント - ストレスや不規則な生活は脾胃の負担になります - 冷たいものの摂りすぎも胃腸を弱らせます - 季節の変わり目や梅雨時期は特に注意が必要です
鍼灸治療では、消化器系の働きを助け、内臓の機能を整えることを目指します。具体的には以下のようなツボが用いられることが多いです。
- **足三里(あしさんり)** 胃腸の調子を整える代表的なツボで、疲れやだるさの改善にも用いられます。
- **中脘(ちゅうかん)** 胃の中央に位置し、胃の働きを調整すると言われます。
- **脾兪(ひゆ)・胃兪(いゆ)** 背中にあるツボで、脾胃の機能回復を助けるとされています。
これらのツボに鍼やお灸で優しい刺激を与えることで、気血の流れを促し、内臓の調子を整えるサポートが期待できます。治療は患者さまの体質や症状に合わせて調整されますので、無理なく心地よい施術です。
重要ポイント - 鍼灸は自律神経のバランス調整も期待できます - 症状だけでなく体質に合わせた施術が特徴です - 継続することで予防ケアとしても役立ちます
胃の調子を整えるためには、日々の生活習慣や食事も大切です。以下のポイントを意識してみましょう。
- よく噛んでゆっくり食べる
- 腹八分目を心がける
- 冷たい飲食物を避け、温かいものを選ぶ
- 消化に良いもの(おかゆ、煮物、スープなど)を中心にする
- 寝る直前の飲食は控える
- 軽い散歩やストレッチで気分転換をする
- 規則正しい生活リズムを意識する
- 入浴や深呼吸でリラックス時間を持つ
重要ポイント - 胃腸に優しい食事を選びましょう - 過度なストレスを溜め込まない工夫を - 身体を冷やさないことが養生の基本です
胃のもたれや食欲不振は、身体の内側からの「無理をしないで」というサインかもしれません。鍼灸による体質改善とあわせて、食事や生活の見直しを取り入れることで、症状の改善や予防につながります。もし不調が長引く場合は、ぜひ専門家に相談してみてください。身体と心を整える第一歩として、無理なく続けられるケアを心がけましょう。